同番組は「食の起源」をテーマにしたシリーズの第1回で〈ご飯は健康長寿の敵か? 味方か?〉との問いかけとともに、日本人の主食である「白米」の有効性に迫った。
長年日本の食卓の“主役”にあった白米だが、近年はダイエットブームもあり、「炭水化物抜きダイエット」や「糖質制限」を実践する人が増加した。
Nスぺでは、石器時代まで遡って白米の主成分である糖質の功績を紹介。200万年前に人類が火を使って木の実の調理を始めたことで多くの糖質が体内に入るようになり、そのエネルギーで人間の脳が巨大化し、知性が向上したことを「第一の食革命」と伝えた。
さらに1万年前、日本人の祖先がコメを主食に選んだことで、糖質、たんぱく質、食物繊維などの栄養素を効率的に摂取できるようになったことを「第二の食革命」と紹介した。
壮大なスケールで白米を追った番組で最も注目されたのが、冒頭のファン博士による研究結果だ。
シモンズ大学が13万人の食生活と健康状態を20年以上追跡調査し、普段の食生活で糖質の摂取量が標準的な人(総カロリーの60%が糖質)と、とくに少ない人(総カロリーの35%が糖質)を比べると、後者の死亡率が1.3倍以上に高まった。
この結果は糖質制限実践者に衝撃を与えた。そもそも白米やパンなどに多く含まれる糖質は体内でエネルギーに使われ、残った分が脂肪に代わり、内臓や皮下に蓄積されて肥満につながる。
糖質を摂り過ぎると「高血糖」と呼ばれる状態になり、肥満だけでなく糖尿病のリスクも上昇する。そこでその「元凶」たる糖質の摂取を制限する効果に注目が集まり、近年はこの糖質制限を体重管理に転用した「糖質オフダイエット」が大流行している。
ファン博士の研究結果は、昨今の糖質制限ブームの真逆をいく内容であり、Nスペの放送終了後には、SNSに〈糖質制限をすぐにやめようと思った〉など驚きの声があふれた。
※週刊ポスト2019年12月20・27日号